9月花形歌舞伎「陰陽師」

9月の歌舞伎座は、新開場杮葺落花形歌舞伎:夜の部は「陰陽師」です。
原作は夢枕獏さん。全くの新作歌舞伎です。

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【筋立て】
物語は、親皇を名乗り、朝廷に弓引いた平将門の怨霊V.S.陰陽師:安倍晴明の戦いです。
 とは言うものの、本当の「国崩し(歌舞伎の悪役の中では、最上級の敵役=例えば、仁木弾正や松永大膳)」の敵役は、興世王(実は、当時将門に匹敵する朝敵なのですが…)…、将門は国崩しの為に利用される立場・・・。その、恐ろしくも悲しい将門の姿と、彼の復活を望む娘・滝夜叉が哀れを誘う。

4時間に及ぶ伝奇物語は、スケールと言い、ストーリーと言い、申し分なし。特に、シニカルな探偵役の晴明(染五郎さん)と彼に従う笛の名手源博雅(勘九郎さん)が、シャーロックホームズとワトソンの関係を彷彿とさせ、良い掛け合いを演じています。それは「2幕2場の晴明の館」でのユーモラスな会話の中に色濃く表れ、二人の関係性を上手に描いています。
更に将門(海老蔵さん)と「心ならずも」敵対してしまう俵藤太(松緑さん)や、娘として何の野心も無く父の再生を望む滝夜叉(菊之助さん)、反対に野心満々の興世王(愛之助さん)等、人物の描写も秀逸でした。
※但し、前半、将門が乱を起こした20年前の回想・・・、将門の心境の変化が今一つ描き切れていなかった事が残念ではありましたが・・・。

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【役者】
 それにしても、市川海老蔵と云う役者のオーラは目を見張るものが有ります。声良し、顔良し、演技の大きさも申し分なし!

 染五郎さんの晴明役は、・・・「難なく」と言った処。勘九郎さんは、相変わらず人柄が滲み出た好演。松緑さんは、晴明の静的な演技に対して、程よい熱血漢ぶりを表わしていて、舞台に巧みなバランスを生み出していました。七之助さん・愛之助さんは、可憐と妖艶を上手く演じていらっしゃいました。
 更に、セリフも出番もそれ程多くは無いのですが、狂言回し的な役割を演じた道満役の亀蔵さんは、美味しい所取りと言った体でした。
 最後に・・・、愛之助さん、国崩しの実悪!と云うには、少し物足りない?それは、演技と云うよりは、衣装や隈取の問題か・・・?ただ、何と言っても将門の存在感の大きさが一番の原因だったのかもしれません。

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【舞台】
 やっぱり、歌舞伎座の舞台は凄いです。広大な間口とそれに見合った奥行!!!例えば、晴明の館で二人(晴明と博雅)が語り合うシーンや滝夜叉と晴明の立ち回りなどは、たった二人の為に何と贅沢な空間を提供している事かと呆れるほど・・・、一方、大ムカデと藤太の立ち回りや大詰めでは、流石歌舞伎座!といった感じでした。

最後に、あいも変わらず「good timing」な声を掛けて頂いた大向うの小父様達にお礼を言いたいと思います。

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