悲しくも美しい韓国映画「チスル」

013年公開の韓国独立プロによる映画です。

物語は、1948年の「済州島四・三事件」を題材にしたものです。

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 済州島四・三事件とは、アメリカ軍政下の南朝鮮で、南単独で選挙を行おうとする勢力と、南北統一された自主独立国家を目指した勢力(主に南朝鮮労働党など)との対立が招いた武力衝突です。

 武力衝突とはいっても、済州島で勢力を持った統一派は圧倒的な戦力を持つ本土の勢力には敵わず、南朝鮮国防警備隊、韓国軍、韓国警察、右翼青年団等によって、無関係な住民も巻き込む形で、島民3万人が虐殺されました。

 ただし、映画は、その政治的・思想的なバックグラウンドを殆ど描かず、淡々と殺す側と殺される側を、済州島の美しい自然とともに描いて行きます。
 そして、その描き方が、映画に素晴らしいリアリティーを与えています。
 即ち、殺す側は「アカは皆殺しだ」と言う決めつけ、殺される側は「どうしてなのか解らない」と云う不条理さかかえ・・・、さらに、もともと有った島民に対する差別意識が加わり・・・、そして、最終的には米国は傍観するのみ・・・
 多くを語らぬことが返って理不尽な虐殺の構図を浮き上がらせる・・・、見事な描き方でした。

 アメリカの独立系映画の祭典である、サンダンス映画祭でワールドシネマ劇映画部門のグランプリを受賞したのも頷ける仕上がりでそた。

 さて、この「済州島四・三事件」を日本人として考える時に思うことは・・・

 まず、この事件の時に多くの済州島に住んでいた人々が「難民」として日本に逃れて来たという事です。
 長い間の日帝支配から逃れることが出来たと思った矢先に、思いもかけない同じ民族からの迫害・・・、どんな思いで日本に逃れて来たのか、胸の締め付けられる思いがします。
 日本が、本当の意味での安住の地であって欲しいと切に望みます。

 また、自分と相いれない考えを持つ人々や、その家族、地域の人々に対して、当事者は勿論、無関係な人々にまで人間は「アカ」だとか「反民族主義者」とか、・・・最近の日本であれば「反日」こか言うレッテルを張ります。その事が如何に卑劣なことか・・・、この映画は思い知らせてくれます。

 遠い過去の話とは言い切れない、本当に色々なことを考えさせられる映画でした。
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